佳奈多シナリオを終えて、感想&考察をしてみる

言わずもがな、ネタバレです。
攻略のヒントとかも書いちゃったので、まだの人は絶対に見ないでください。
そして、できれば前作を未プレイの人もご遠慮ください。


それでもOKの人は続きをどうぞ。




まず、ストーリーを終えての全体的な感想ですが、
「"リトルバスターズ!"の個別シナリオ」として見るなら佳奈多の話は最高の出来でした。


ではどんな風に良かったか
…と言う前に、ルートへの入り方を。
とはいっても、ここは攻略ページでも何でもないのでざっくりといきます。


まず、『佳奈多の視線をどう感じたか?』のような選択肢があります。
ここは、『好意を感じた』で佳奈多、『敵意を感じた』で葉留佳に分岐するようです。
ここでの選択を終えた後は、基本的に休み時間に外に出ていれば勝手にルートに入ってくれるようです。あとは己の感覚に従い、裏をかかない選択肢を選んでいけば大丈夫です。
で、最後に鈴と小毬の買い物を『手伝う』とすればOKです。
…あ。あとデートは映画がお勧めです。朋也と智代みたいな学校デートとかいう展開もありそうですが、残念ながら僕はそっちの選択肢は未確認です。なので無難に映画鑑賞券の方が安全だと思いますよ。



―さて、そして佳奈多のルート突入なのですが…
最初の選択肢から、もう不自然ですよね。
僕は「世界の秘密を知っていた」ので、「知らない」という人も最初から佳奈多√には入れるのかどうかは知りません。
ですが、佳奈多の話は明らかに『世界の秘密』を意識したストーリーになっています。
たとえ、『好意を感じた』、ここを理樹の主観として無視をするにしても、後から「葉留佳が佳奈多と仲良くしようとする」シーンが出てきます。
このことから、『すでに二人は和解している』(もしくは、『和解しようとしている』)、ということがわかるはずです。
おそらく、「知らない」人が佳奈多√に入る条件は"葉留佳シナリオをクリア"なんでしょうが、たとえ条件があったとしてもなかったとしても、「前の世界(葉留佳シナリオ)での出来事が反映されている」と、容易に想像できますよね。
これは「知っている」人はニヤマリング、「知らない」人にとってはリトバスの『世界』を知る大きなヒント、となります。
前作は、個別シナリオだけリトバスの物語のすべてを理解するのはとても難しかった(むしろ無理。)と思います。その結果、無印での個別シナリオの評価は非常に(Key作品としては『異常』に)よろしくありませんでした。
で、その反省を生かしてか、今作ではメインストーリー(Refrain)とサブストーリーの世界のつながりを意識しているようです。
例えば、物語の演出で言えば、(リフレインと姉御ラスト以外の)完全な理樹一人視点だったものが、ヒロイン視点(主に心情や思考の表現)が新たに加わりました。
ヒロインの半主人公化によって、『繰り返し』という表現における短所であった「理樹の個別シナリオでの弱さ」を補ったのでしょう。どうしても、エロゲーorギャルゲーで「最後まで頼りないままの主人公」ってのは致命的ですからね…
ヒロインも物語に主体的に参加させることで、本来の主人公である理樹の存在をサブキャラ化(?)させ、あくまで『ヒロインが自分の問題を仲間に助けられながら解決していくストーリー』という位置づけにしたわけです。
ここら辺はADVとしては少し異質な感じですが、『Key』の作品として見れば、というか鍵っ子的にはそんなことは気にならないはずです。(…というか、もともと『エロゲー』としてはあまりきたいされてはいなかった様子ですしね)
むしろ、『リトルバスターズ!』というゲーム全体を考えれば大いに意味のある、効果的な演出だと思います。




―さて、ゲームとしての演出を語ったところで、次は内容に関して、です。
まず、先にも書きました、佳奈多ルートは「姉妹の問題は解決している(解決
しかけている)」ところから始まるわけです。(と言うか、もともと、この話は葉留佳シナリオのアフターストーリー的位置づけらしいです。)
…最初から楽そうな雰囲気なのですが、残念なことに「『家』の問題は未解決」なわけです。
その問題をどうやって解決するのか、また、根本的に、佳奈多の心をどうやって開かせるか、がストーリーの軸になります。
正直、いちいち内容を書くのはめんどくさい無粋だと思うので最初から結果を言うと、佳奈多は理樹に心を開き、姉妹の問題も三枝の家の問題も解決するわけです。
で、その過程での泣かせ方、盛り上げ方、そしてエロへの入り方…魅せてくれました。
未プレイの沙耶と佐々美を除けば、前作のシナリオと比べて、一番『上手い』シナリオだったと思います。
ストーリーの本軸自体は比較的ありふれた話なのですが、だからこそ、シンプルな『Keyらしさ』を感じられました。


―さて、抽象的な評論もどきはこれで終えるとして、具体的な話をしてみましょう。
まず、先にも書いたように視点の変化、これが非常に成功しています。
佳奈多視点では主に幼少時代、姉妹が決定的な仲たがいをする以前のことが描かれるのですが…
すごく良い。くちゃくちゃ良い。
話の流れは単純に予想できるものですが、前作の葉留佳シナリオの伏線(というか説明不足?)を見事に回収しています。
いや、そんなこと抜きでも良い話でしたね。
特に髪留めに関する話はストライクゾーンど真ん中でした。
「親の本当の気持ち」、「佳奈多の想い」、「姉妹の絆」…いろいろなヒトのココロが詰まっています。そして、それを踏みにじてしまう汚い大人達の醜いウソ。
…でも、たとえ、それによって一度引き裂かれてしまっても、壊されてしまっても、決して断つことの出来なかった姉妹の固い、強い絆。
これだけで泣き、ですよ。涙腺決壊ですよ。
BGMの『遥か彼方』がまた何とも良い感じで…


…そんな感じで、中盤から早くも涙です。
そして、そんな過去の傷から理樹が立ち直らせるわけですが、最終的にはエロに突入するわけです。
―ですが、僕はエロシーン研究家でも何でもないので、その内容は省略。
…ただ、葉留佳のもそうなんですが、痛がりますね。とても。
なんだかこっちが申し訳なくなってしまいます。


と、エロを終えるとED一直線…なわけはなく、また、一波乱あるわけです。
それは、佳奈多の結婚。もちろん、本人は望んでいません。
あの汚れきった大人達の策略です。
妹を想う『良い姉』の心を弄ぶ、穢れた考え。
…そんなの、もちろん理樹が許すわけがありませんよね!
佳奈多奪取大作戦です。
―本家の車に乗せられ、連れ去られそうになる佳奈多。
そこに現れるわけです。
理樹が。葉留佳が。リトルバスターズが。
大切な、恋人のために、姉のために…なにより、かけがえのない仲間のために!
…痺れますねぇ。
これぞ『燃え』ですよ。


そしてちなみに、この場面での恭介は異様にカッコイイです。

『こんな往来で舞踏会か? 行儀の悪い連中だな』
…くぅ〜! 痺れるぜ!
ここでまた理樹が全く活躍しないのが味ですね。
真っ先に教室から飛び降りて、一番最初に佳奈多のもとにたどりついたのに。


―つまり、理樹は弱いまま?
いやいや、誰もそんなこと言ってません。
ちゃんと理樹も活躍しますよ。
佳奈多を奪い返した理樹たち…ですが結局、佳奈多の望まない結婚を止めることはできませんでした。
なら、どうする?
…「結婚式の恋泥棒」ですよ。
これぞ『リトルバスターズ!』です。
たしかに、理樹だけの力では難しいことだってあります。出来ないことだってあります。
でも、一人ではできないようなことだって、力を合わせれば不可能なんてものはないんです。
そう、リトルバスターズという力強い『脇役』たちがいるんだから。


―最後に、理樹と葉留佳、そして、佳奈多は家を出ます。明るい未来への家出です。
すべてを終わらせた3人は、あるところで、空を見上げます。
青い空、そして、ひたすら自由に羽ばたく白い鳥たち。
大切な仲間たちに見守られながら、彼らの自由な物語は、動き始めるのです。




―と、まぁ、こんな感じで佳奈多シナリオの感想でした。
とにかく、個人的には大満足です。
そして、沙耶と佐々美にも期待です!



…あ、最後にひとつだけ。
ちなみに『Alicemagic』がロックスター.verになっていました。
これも、EDの自由な感じが高まっていて良い感じでした。
さすがKey。音楽でも物語を魅せてくれますね。